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研究書(文学系) 詳細
源氏物語生々流転 論考と資料
武蔵野書院創業百周年記念出版
書名かな | げんじものがたりせいせいるてん ろんこうとしりょう |
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著者(編者)名 | 池田和臣 著 |
著者(編者)名かな | いけだかずおみ |
ISBNコード | 978-4-8386-0729-7 |
本体価格 | 16,000円 |
税込価格 | 17,600円 |
判型 | A5判上製カバー装 |
頁数 | 540頁 |
刊行日 | 2020年3月31日 |
在庫 | 有り |
革新的で多様な方法、深い認識と思想、個性的な人間造型など、『源氏物語』の独自な世界形成はどのようにして獲得されたのか。
『源氏物語』作者紫式部が、自らに先立つ文学的伝統――仮名表記史あるいは文学史の状況――とどう向かい合い格闘したのかを、様々な側面から考える。
凡 例
序
Ⅰ 本文・文体・表現
1 『源氏物語』の原本とは何か─当たり前からの出発─
一 古典文学作品の原本
二 『源氏物語』は紫式部が書いた
三 『源氏物語』の原本は一つではない
四 物語に対する心情の変化
五 寛弘五年十一月の『源氏物語』は何帖あったか
六 『源氏物語』の流転
七 『源氏物語』の原本と古典化作用
2 写本の書きざま─方法としての仮名 覚え書き─
一 本文資料としての古筆切
二 仮名消息と物語
─仮名文の書きざまと仮名文の文体・方法
三 〈重ね隠す方法〉の展開
四 『源氏物語』の方法へ
3 『源氏物語』の文体形成─仮名消息と仮名文の表記─
一 歌と地の文の融通
二 作意の表記、作為の文体
三 地の文と会話文、地の文と心内文の融通
四 融通する文体の因由
五 融通する文体の偏在性
六 仮名文の表記様式の逆規制
七 仮名消息と仮名文の表記様式
4 『源氏物語』の引用表現における異文
─引用本文の行方、引用表現の含意─
一 異文の痕跡
二 『源氏物語』の本文と『伊勢物語』の異文
三 錯覚による引用本文
四 若紫・光源氏と『伊勢物語』四十九段
5『源氏物語』と仮名
一 仮名と〈女の一生〉
二 『源氏物語』の仮名書芸論
三 百花繚乱─『源氏』の女君の筆跡を古筆になぞらえる
四 付けたり
Ⅱ 思想と美学
6 『源氏物語』の文学思想
─わが名を冠した物語の作者としての─
一 狂言綺語の文学観と物語
二 『蜻蛉日記』の文学精神
三 源順・曽丹・そらごと
四 『蜻蛉日記』から『源氏物語』へ
五 螢巻の物語論と『蜻蛉日記』
六 物語と和歌と三史五経と仏典と
七 『源氏物語』の文学観・物語観
八 付けたり 雨夜の品定めと『蜻蛉日記』
7 物語の周縁─猥雑なるものとその行方─
一 猥雑なる本性
二 『源氏物語』と猥雑なるもの
三 猥雑なるものと絵
四 「男女ならび居たる絵」
五 偃息図
六 猥雑なるものの意義
8 『源氏物語』の仏教
一 天台浄土教の宿世観
二 無意識的方法としての宿世観
三 宿世の罪と愛執の罪
四 宗教と文学
9 『源氏物語』の美の遡源─情念の哀しさと美的慰藉─
一 美とは
二 美貌と愛執
三 情念の哀しみと美的慰藉
四 美的慰藉の淵源
10 光源氏の愛と性
一 背徳的な性愛と王権物語
二 欲望装置としての光源氏
三 美的客体化と性的身体
四 源氏の求めた愛
Ⅲ 人物造型論 男君
11 光源氏の造型─表現類型の中の光源氏─
一 光源氏論のむずかしさ
二 光源氏とその物語の原理─王権論
三 物語行為における〈美貌〉と〈色好み〉の意味
─見る主体への転化、あるいは欲望の装置
四 光源氏造型の変質と〈女の物語〉の主題性
五 表現類型の中の光源氏
12 「人やりならず」攷─柏木論のための序章として─
一 柏木論の問題点
二 「人やりならず」の文学伝統
三 『源氏物語』の「人やりならず」
四 源氏、柏木、薫の「人やりならず」
13 薫の人間造型
一 主題性の葛藤
二 橋姫巻の薫
三 薫の人間像
四 薫の造型方法
Ⅳ 人物造型論 女君
14 明石君の深層─想像力と夢─
一 二つの視座
二 構造上の役割と神話的想像力
三 明石君と紫上
四 造型の方法と来歴
15 玉鬘の魅力─奇談性と日常性─
一 玉鬘の役割
二 好奇な欲望の対象─大夫監の場合
三 好奇な欲望の対象─源氏の場合(一)
四 好奇な欲望の対象─源氏の場合(二)
五 好奇な存在から良妻賢母へ
16 『源氏物語』の人間造型と『伊勢物語』
一 「うし」と「宿世」
二 「うし」と「つらし」
三 『蜻蛉日記』の「うし」と「つらし」
四 二条の后と藤壺
五 二条の后と和歌
Ⅴ 流転─新資料による論考─
17 『源氏物語』には五十四帖以外の巻があった
─散佚した巣守巻の古写本断簡─
一 改竄される物語の写本
二 五十四帖以外の巻の存在
三 古本「巣守」の復元
四 二葉の物語の断簡
五 古本「巣守」の古写本断簡
六 一葉目の断簡と『浜松中納言物語』散佚首巻
七 放射性炭素14による年代測定
八 散佚物語・古筆切・物語の流動
九 付けたり
18 『源氏人々の心くらべ』『源氏物あらそひ』の祖型の断簡
─『源氏物語』評論の初期資料発掘─
一 さまざまなる『源氏』享受
二 不詳『源氏物語』評論の新出断簡
三 断簡の内容─浮舟と空蝉
四 断簡の内容─薫と夕霧
五 断簡は『源氏人々の心くらべ』『源氏物あらそひ』の祖型か
六 炭素14年代測定
19 『源氏物語』の秘説と後小松上皇
─新出 三条西実条筆本『兼宣公記』断章から─
一 『源氏物語』秘説と文化的支配
二 新出三条西実条筆本『兼宣公記』断章と旧説訂正
三 「源氏三ヶ秘抄」および紙背の翻刻
四 新出資料の詳細
五 秘説伝授の政治的意味
六 付けたり
Ⅵ 『源氏物語』の周辺
20 紫式部の恋
一 『日記』『家集』にどう向かい合うか
二 『紫式部日記』の表現構造と秘められた主題
─道長との恋
21 『更級日記』主題論─偽装の懺悔・功徳の放棄─
一 物語へ、物語とともに
二 物語の意味─偽装の懺悔
三 さてもありはてず
四 功徳も作らずなどしてただよふ
22 谷崎潤一郎と『源氏物語』
一 想像力の源泉
二 内容面での『源氏物語』摂取
三 情念の鋳型としての『源氏物語』
四 文体と表記
五 語りの方法
Ⅶ 『源氏物語』関係古筆切資料
23 本文関係の古筆切資料
一 古筆切の価値
二 別本
①伝西行筆(御法巻)
②伝藤原家隆筆(明石巻)
③伝阿仏尼筆(手習巻)表裏
④伝阿仏尼筆(帚木巻)
⑤伝藤原行能筆(総角巻)
⑥伝二条為定筆(蜻蛉巻)
⑦伝二条為明筆(若菜下巻)
⑧伝二条為明筆(桐壺巻)
⑨伝西行筆塙正切(宿木巻)
三 河内本
①伝西行筆(浮舟巻)
②伝藤原為家筆大四半切(薄雲巻)
③伝藤原為家筆大四半切(真木柱巻)
④伝称筆者不明(絵合巻)
⑤伝冷泉為相筆(松風巻)
⑥伝後伏見院筆大四半切(帚木巻)
⑦伝後花園院筆(明石巻)源氏物語抄出切
四 青表紙本
①伝西行筆(浮舟巻)
②伝慈円筆(薄雲巻)二葉
③伝藤原為家筆(若菜下巻二葉・玉鬘巻)
④伝藤原為家筆(若菜上巻)
⑤伝慶融筆(帚木巻)
⑥伝称筆者不明(御幸巻)
⑦伝冷泉為相筆(夕顔巻)
⑧伝冷泉為相筆(明石巻)
⑨今川了俊筆伊予切(夕顔巻)
⑩伝一休筆須磨切 (須磨巻)
五 絵巻詞書
①伝称筆者不明 源氏物語絵巻詞書(須磨巻)
六 後人書き加えの巻
①伝花園院勾当内侍筆(伝後光厳院筆)
山路の露(源氏物語続篇)断簡二葉
24注釈書・梗概書・和歌集・その他の古筆切資料
一 注釈の始原
二 注釈書
①伝二条為明筆 源氏釈切
②伝浄弁筆 源氏釈切 表裏
③伝四辻善成筆 河海抄 細川切
④伝寂連筆 不明注釈切
三 梗概本
①伝二条為重筆 梗概本切
②伝後花園院勾当内侍筆 梗概本切
四 源氏物語和歌集
①伝京極良経(為家)筆 葦手下絵源氏物語和歌集切
②伝藤原為家筆 源氏物語和歌集切
③伝松尾芭蕉筆 源氏物語和歌集切
初出一覧